1.電源の確認する
乾電池式:
- 乾電池が残量は十分か確認する。
- 乾電池が正しくセットされているか確認する。
バッテリー式:
- バッテリーの電圧が十分か確認する。
- バッテリーの端子が腐食していないか確認する。
AC100V式:
- コンセントが抜けていないか確認する。
- 漏電遮断器が落ちていないか確認する。
- コンセントに電気が通っているか確認する。
- 電源アダプターが故障していないか確認する。
2.電気柵本体を確認する
電源スイッチ:
- 電源スイッチがONになっているか確認する。
ランプ:
- 電源ランプが点灯しているか確認する。(点灯していない場合は、電源が供給されていない可能性)
ヒューズがある場合:
- ヒューズが切れていないか確認する。(ヒューズが切れている場合は、新しいヒューズに交換)
問題が無ければ、 2.電気柵本体の動作確認へ
1.電気柵本体に繋がっているケーブルを一旦はずす。
フェンスへのケーブルとアースへのケーブル
2.本体のみで専用テスターで電圧を測定する。
電圧が正常な数値か確認。(6000V以上)
問題が無ければ、 3.アースの確認へ
電気柵にとってアースはとても重要な部材です。
- 電気柵本体とアースの接続は正しいか。しっかり接続できているか
- アース線とアース棒の接続はしっかり接続できているか、断線はないか
- アース棒はしっかり地中に刺さっているか
- アース棒が錆びていないか
- アース棒が必要本数設置されているか
電気柵本体がきちんと動作していても、アースの設置に問題があると電圧が上がらず動物にショックを与えることができません。
またアースの設置場所が、石が多い、乾燥している場所ではアースが弱い、不足する場合があります。その場合にはアースの設置場所を変更してください。
写真はアースの打ち込み不足です。アース本体がすべて隠れるまで打ち込む。
問題が無ければ、 4.漏電箇所の確認へ
電気柵は、ワイヤーがプラス、地面がマイナスです。
ワイヤーが地面に触れたり、草、生木、鉄などに接触した場合でも全て漏電になり、電圧低下の原因になります。
電気柵の電圧低下の原因のほとんどが漏電によることが多いので写真を参考にしっかり確認してください。
※メーカーによっては、漏電するとバッテリー消費が増える場合がありますのでそういった機種の場合にはさらに注意が必要です。
- 草による漏電
わずかな草接触であればロスも少ないですが、雨や露があるとロスも大きくなります。
- 倒木による漏電
ワイヤーやポールに負担もかかりますので、早めの修繕が必要です。
- 鉄材の接触による漏電
とても大きなロスになります。漏電箇所がわかりにくい場合が多く見逃してしまうことがある。
補強の鉄筋棒がクリップに触れている。(支柱絶縁素材でもクリップ碍子が鉄材のため漏電します)
補強のガードレールの支柱にクリップが触れている。
碍子からワイヤーが外れ、ボルト部に接触し大きな漏電になっている
電気を通さない絶縁木を使用していますが、トタン板とワイヤーを固定する金具がトタン板と接触している
漏電方向の特定に便利な、フォルトファインダーがあると広域の電気柵などの維持管理にとても便利です。
フォルトファインダーを調べる
問題が無ければ、 5.そのほかの電圧低下の注意点へ
以下の方法は、電気柵の電圧低下になりますので、注意が必要です。
- 鋼管パイプにビニールテープを巻いてもパワーが漏れてしまい、電圧が低下してしまいます。
鋼管パイプを使用する場合は、専用の碍子を使用しましょう。
専用碍子(ポール用碍子MP型)
- 園芸用支柱も芯に鉄を使っていることが多く、被覆が薄いので使用する場合には専用の碍子を利用しましょう。
またシカは電気ショックを受けた際、前へ飛び込んでワイヤーに絡んで、支柱に負担がかかることがあります。
強度の弱い園芸用支柱の場合には折れてしまうことがありますので、コーナー部には樹脂ポール、直線部にはグラファイポールなどの強度が高く、柔軟性のある支柱を推奨します。
樹脂ポール2100を調べる グラファイポール1900を調べる
- 木材、竹も水分を含んでしまうため、電気柵の支柱には使用できません。
木柱を使用する場合には、木柱用碍子(リング碍子)を使用します。
木柱用碍子(リング碍子)を調べる
- フェンスまでの距離が長く、ケーブルで延長や埋設する際は、電気柵専用の被覆ケーブルを使用します。
耐候性に優れ1万ボルトの高圧に耐えられる2重被覆構造です。
※一般に販売されている家庭用で使用するコードケーブル類は使用できません。
電気柵専用の被覆ケーブルを調べる
問題が無ければ、 6.ワイヤーの確認へ
簡易柵で使用するポリワイヤーは消耗品です。
劣化や断裂があると電気を十分に届けることが出来なくなります。
スパークにより焦げていたり、劣化がある場合には、交換、修繕を行いましょう。
ポリ製のワイヤーは4年程度が張り替えの目安になります。
ワイヤーは、夜間でも視認性の高い白色がおすすめです。
問題が無ければ、 7.電気柵本体の性能以上のフェンスを架線していないかへ
電気柵の本体の性能以上のフェンスを架線していて電圧が低下している場合もあります。
各メーカーの公称する延長可能距離は、ワイヤーの種類、地盤の状況によって大きく異なる場合があります。
電気柵の本体は、メーカー公称値や無負荷の状態で、9500Vの電圧がであっても、実際に柵を設置した際や、少々の漏電で大きく電圧が下がってしまう場合があります。
これは電気柵本体の能力が低いということになります。
電気柵は最高電圧が高いことではなく、高い電圧を維持できるかが強さ(能力の高さ)になります。
様々な電気柵メーカーの電気柵がございますので、ご不明な場合には弊社まで直接ご連絡ください。
下記の電気柵の管理をもっと簡単に行う資材とポイントもご参考ください。
- 漏電している箇所に案内してくれる検電器
電気柵のワイヤーに当てると自動で本体の電源が入り、電圧・電流を表示します。
漏電している場合は、漏電方向を矢印で表示します。
- 電圧表示はもちろん、矢印で漏電方向、A(アンペア)でどの程度の漏電か判断できます。
左の方向で大きな漏電があることがわかりました
広域の電気柵の管理にとても便利です。
- 区画ごとにスイッチを設ける
電気柵用のスイッチを区画ごとに設けることで、どの場所で漏電しているかを特定しやすくすることができます。
※電気柵のスイッチは高電圧を遮断する電気柵用のスイッチを使用しますのでご注意ください
- 強制漏電で簡単修理
電気柵のワイヤーを複合柵であれば鉄部分にリードコネクターを接続することで、簡単に漏電させることができ、本体の場所に戻らなくても、安全に修繕できます。
- LEDの点滅で簡単確認
少し離れた場所から電圧が流れているか確認することができます。
- 電気柵の電圧を遠隔で監視する
電気柵の電圧を現場に行かなくても確認することができます。
夜間や過去の電圧状況の見える化、低電圧時のメール通知で日々の労力が軽減し、十分な電圧を保つことで、防除効果がさらに高くなります。
電気柵監視システム「エフモスジュニア Ver2.0」を調べる
- 電気柵の資材は回収する
電気柵は、ワイヤーは痛い、怖いと学習させて近づかなくさせる心理柵です。
通電せずに設置したままでは、ワイヤーは怖くない、潜れると学習してしまう可能性があります。
また積雪地であれば雪によるポールの破損やワイヤーの断線につながりますので使用しない時期は、撤去、回収を行いましょう。
- バッテリーの保管
バッテリーは未使用時でも自己放電しています。使用後、使用前に容量を確認し、必ず充電を行ってから使用してください。
最近はバッテリー内蔵式が増えてきました。使用しない際は、しっかり充電した後にバッテリーをケーブルから外し、管理をお願いします。
詳しくは取扱説明書をよく読んで使用しましょう。
電気柵には、法律や適切な使い方、安全基準があります。
電気柵を安全に使用するため、詳しくは日本電気さく協議会のページをご参考ください。
日本電気さく協議会は、日本国内における電気さく及び関連機材のメーカー並びにそれらの輸入元が結集した日本における電気さく器の業界団体です。