こんにちは。
僕は昨年農業をはじめたばかりの超初心者農家です。
地元の自治体が主催する農業支援講座に通いながら、小さな畑で野菜を作っています。
僕の畑は山際にあって、他の方が管理されている周りの畑には電気柵が設置されているところもあります。
いまのところ自分の畑が被害にあったことはないんですが、まわりの方が電気柵をつけているということは被害にあう可能性もあるってことですよね。
電気柵(でんきさく)は丹精込めて育てた作物を、イノシシやシカ等の野生動物から強力に守る効果があります。その効果が評価され、全国各地で設置が進んでいるそうです。
でも、電気柵って聞くとなんだかものすごく痛くて怖い、物々しい感じがしますね。
危険そうだから怖くて設置に躊躇する、という方もたくさんいるようです。
もちろん僕もその一人でした。
ですが、結論から言うと電気柵は触ってもケガをしたり、死亡事故になることはありません。
電気柵は正しい知識を持って使えば、確実に作物を獣害から防ぐ便利な装置だと言う事が分かったんです。
今回は皆さんが実は誤解しているかもしれない電気柵について、「電気柵ってそもそも何?」「電気柵って危なくないの?」「電気柵って高いんじゃないの?」といった様な僕も持っていた疑問を色々調べてみた事をまとめたいと思います。
この記事の見どころは、最後で僕が電気柵に触るところです。
電気柵に触ったら大けがをする、という誤解を解くために、実際に触ってみました。(マネしちゃだめですよ!)
電気柵を知らない方も、電気柵に興味がある方も是非読んでくださいね。
電気柵というのは畑などの周りを、文字通り電気の流れている柵で囲った獣害対策です。
こんな感じです。見たことありますよね。
畑の作物を狙いに来たイノシシやシカがこの柵に触れると電気が流れます。
電気が流れるともちろん「バチッ」と痛みとショックが起こりますから、イノシシやシカは
その痛みに驚いて退散します。
もちろんこの電気にはイノシシやシカを倒すほどの電流はなく、ショックを与えるだけです。
そのため、野生動物を傷つけることもありません。
ですが傷つけないといっても野生動物にとっては非常に痛くて怖いものです。
そんな痛くて怖い思いを我慢して畑に入ることはありません。
ほぼ100%びっくりして逃げてしまいます。
次回以降も柵を見るたびに電気ショックの恐怖を思い出すため、一度電気柵に触れたことが ある野生動物は柵(畑)そのものに近寄らなくなるという、肉体的なダメージと心理的な ダメージで野生生物から畑を守る装置、それが電気柵です。
要するに畑を荒らしに来たイノシシやシカに
「なんだこれ!痛ってえ!」
「あれを触ると痛いからよそへ行こう…」
と思わせる装置という事ですね!
イノシシやシカだけじゃなく、サルやアライグマやハクビシンなど他の野生動物にも有効性が実証されているので、様々な場面の問題解消に役立つなと、改めて感じました。
「でも電気柵って高そう…」
こういう声も耳にします。
そんな気になる費用。
実は電気柵、小型のものであれば4万円程度で設置できるんです。
フルセットでも5万円からありますので、思っているほど高額のものではありませんでした。
また、電源は乾電池式や12Vバッテリー、ソーラー電池式と家庭用100Vなどあり、100V式でも電気代が月30円も行かないと知って驚きました!
ソーラーパネル式なら電気代が不要で、こちらのタイプなら設備代だけでOKです。
一度設置したらそのあとは簡単なメンテナンスで長い間使えますし、見まわったりするコストや危険性を考えたら安いと思います。
たったこれだけで、丹精込めて育てた作物を守れるんです。
一度設置したら数年は十分に使用できますので、電気柵は非常に効果的でコストの安い獣害防止なんですね!
「電気柵に人間が触るとどうなるの?死んだりしない?」
一番心配なのはここですよね。初心者の僕も心配でした。
ですがこれに関しても死ぬことは絶対にありません。
後述する僕の電気柵接触体験がそれを保証します笑
それだけでは心もとないと思いますので、実際に電気柵を販売している「協和テクノ」のスタッフさんに色々お話を伺ってみました。
確かに電気柵の電気の力自体(電圧)は高いんですが、電気が流れる力(電流)が弱いため、生き物を傷つけることはできません。
また電気が流れる時間そのものもごく短時間です。
電気柵には安全装置がセットになっていて、この安全装置が電気を一瞬だけしか流さないようにしています。
電気というのは「流れ続ける」と危険なんです。
家庭用の100ボルトでも事故が起きるのは「体に電気が流れ続けた」からです。
逆に言えばどんなに強い電気でも一瞬だけなら大したことはありません。
静電気がいい例です。
車に触った時に「バチッ」とくるあの静電気です。
あの静電気って実は3000ボルト以上、家庭用コンセントの30倍もの強い電圧なんです。
家庭用コンセントで死亡事故はあっても、静電気で大けがをしたり、ましてや亡くなったなんて話は聞きませんよね。
これは電気の流れる時間が一瞬だからです。
電気柵も同じ原理で、一瞬強い電気が流れるだけです。
そのため、この様に「ビリビリビリビリビリビリ!」という感じではなく
ドアノブなどを触った時に起こる「バチッ!」という感じです。
なので電気柵に触っても動物や人間が死んだり大けがしたりすることはありません。
もちろんバチッとはするので、多少痛いですけどね^^;
「電気柵で死んだ人もいる!」
という声も聞きます。
有名な事例では静岡県の感電事故ですね。
ですがあれは電気柵ではありません。
畑の所有者が自作で作った柵に家庭用100ボルトを流し込んだ危険な「罠」です。
自作ですから電気を一瞬しか流さない安全な電気柵装置ではありませんでした。
結果、触れた人の体に長い時間電気が流れ続けてしまったのです。
通常「電気柵」として売られているものは電気を発生させる仕組み自体が違いますので、絶対にこのような感電事故は起こりません。
市販の電気柵を触ってびっくりして転倒した、という事故はたまにありますが、これは電気柵でなくても起こる事故です。
どちらにしても市販の電気柵の電気による死亡事故や重傷事故は起きていません。
なるほど!そうなんですね!
こうやって知ると、怖いと思っていた電気柵がとても身近なものに感じてきました。
正しく設置すれば、安心・安全に使えるものなんですね!
市販のものだと、正しい設置法説明書も付いていて初心者でも設置が難しくはないと言う事なので、ますます興味が湧いてきました!
ただ、設置した後何かの拍子に誤って電気柵に触れてしまったり、ご近所の方が気づかず触れてしまった場合大丈夫なのかという不安が残っています....
そこで筆者自ら接触体験をしてみました!
いくら安全といっても不安はぬぐえませんよね。
そこで実際に触ってきました。
いくら死なないってわかってても痛いとわかっている柵に触るのは勇気がいりますが(筆者は触るまでに数十分かかりました笑)、勇気を出しておそるおそる柵に手を伸ばし…触りました。
触った瞬間に指先に「バチッ!」という衝撃が走る。
確かに痛い!でも、痛いというよりも「不意な静電気を食らった」驚きの方が強い!
もちろん痛くなかったら野生生物にも効果がないので、このくらいのショックは必要でしょう。
でも気を失ったり、ましてやケガをするようなことはありませんでした。
そこでたどり着いた結論がこちらです。
市販の電気柵は安全!メリットもたくさん!電気柵には3つのメリットがあります。
獣害対策としてこれ以上のものはありません。
見回りも24時間というわけにはいきませんよね。(野生生物の活動時間は夜ですし)
罠や猟銃は免許が必要ですし、野生動物とはいえ、傷つけてしまうのも気が引けますよね。
シカやイノシシが罠にかかっても困りますし。
その点、電気柵は「触るたびに痛い」ので慣れることはありません。
頭のいい野生生物はそのうち近寄らなくなります。
近寄ったところでやっぱり「痛い!」ってなるだけです。
作物を守り、かつ動物も傷つけない。(痛い思いはさせてしまいますが…)
両方にやさしい解決策といえるでしょう。
また、電気柵は購入すれば免許不要で誰でも設置できます。
設置の仕方もそこまで複雑ではありません。
電気柵は確実でコストの安い獣害対策です。
ですが「電気が流れている=危険」というイメージが先行し、なかなか浸透していません。
今回解説したように、電気が流れるのは一瞬で、バチッと痛みが走るだけです。
そのため、人間や野生生物がケガをすることはありません。
むしろほかの対策よりも安全な方法といえるでしょう。
家庭菜園や畑をやっていて、作物を荒らされた経験がある人は多いと思います。
長い時間かけて育ててきた物を食べられてしまうのは本当に切なくて悲しいですね。・・・とはいえ動物に非があるわけではありません。
ここは電気柵でお互いの生活に「線引き」をしましょう。