これってハクビシンのしわざ!?ハクビシンの被害と対策
野生動物による被害が年々増え続けています。
とくにハクビシンによる被害は、農作物に限らず一般の民家にもみられ、都会でもその被害が聞かれるようになってきています。
このページでは、ハクビシンによる被害の影響や、他の動物による被害との見分け方、被害にあわないため・拡大させないための対策について説明します。
ハクビシンってどんな動物?
ハクビシンは東南アジアから中国南東部が原産のネコ目ジャコウネコ科の小動物で、日本では北海道から九州までほぼ全域でみられます。
大人の個体の体長は90cm〜110cmくらいで、そのうち尾の長さが40cm〜45cmほどです。体重は3〜4Kgくらいです。
全体的に灰色で4本の足は黒色。しっぽは先の方にいくにしたがって黒が濃く、個体によっては付け根のあたりまで黒いこともあります。
目や耳、鼻の周りも黒い模様がありますが、鼻先から額にかけて白いすじが見られます。このすじが「白鼻芯」という名前の由来にもなっています。
ハクビシンは夜行性で、日中は地面や樹木にあいた穴に入って眠っています。民家や倉庫の屋根裏などに入り込むこともあります。
ねぐらは1箇所だけではなく、離れた場所にいくつかあり、そこを転々と移動します。
決まった繁殖期はなく、1年中子供を生みますが、夏から秋にかけて多く生みます。
妊娠期間は2ヵ月くらいで、一度に2〜3頭の子供を生みます。
雑食性で、果物や野菜、小動物、昆虫、鳥、卵などを食べますが、特に甘い果物を好んで食べます。
ヒトが放置した生ゴミを漁ることもあります。
ハクビシンは身軽で木登りが得意です。樹木の枝はもちろん、電線の上を器用に歩くこともできます。
自分の頭が入る大きさの穴や隙間に入ることができ、狭い隙間を自由に通り抜けることができますが、自分で穴を掘ることはあまりありません。
ハクビシンによる被害
健康被害
ハクビシンは民家の屋根裏に入り込むなど、私たちのすぐ近くに住みついていることもよくあります。天井一枚、壁一枚隔てた裏側に入り込んでしまうわけですが、その際に問題になるのが私たち人間の健康被害です。
ハクビシンは餌を取りに出かける際には、人目につかない側溝の中を歩いたり、森や林の中を通ったり、生ゴミを漁ったりしています。
そのときにダニや寄生虫、食中毒菌などが体につけ、そのまま屋根裏などに戻ってきてしまいます。
そのような微生物や細菌はその場所でそのまま繁殖したり、ハクビシンの通り道から私たち人間の生活スペースへも入ってきてしまいます。
人間に感染れば、重い症状が出たり場合によっては死に至るような病気にかかってしまうこともあります。
環境被害
ハクビシンは小さな隙間から民家や倉庫・神社等に侵入して、屋根裏などに住み着くことがよくあります。
そのとき、壁や柱を傷つけたり糞尿等で悪臭が出たり汚してしまうことがあります。屋根裏などを歩く物音が聞こえることもあります。
また、ペットや家畜が傷つけられる危険もあります。ペットフードや家畜の餌が食べられてしまうこともあります。
農作物被害
ハクビシンは畑に侵入して農作物を荒らすこともあります。
特に甘い果物などが好物で、各地で被害が報告されています。
果物以外にもトウモロコシやジャガイモ、トマトなどの野菜もよく被害にあっています。
こんなことがあったらハクビシンが近くにいるかもしれません
ハクビシンの前足は比較的丸みがあり、後足は縦長でヒトの足を小さくしたようにも見えます。
前足も後足も5本指でそれぞれの指には細長いツメがついています。
この様な足跡を見つけたら、近くにハクビシンがいるかもしれません。
足跡の他にも、以下の様な事がある様です。
- 土の上や壁、コンクリートに足あとらしきものがあった
- 猫くらいの大きさの種類がよくわからない動物をみかけた
- 農作物や庭木の果実が食い荒らされているような跡があった
- 木や柱に5本のツメ痕があった
- 壁に穴があけられたり雨どいがこわされてしまった
- 天井に雨漏りのようなシミができた
- 雨どいやベランダの隅にまとまってなにかの糞があった
- 天井裏から物音が聞こえてきた
- ペットや家畜の餌が荒らされたり食べられたりしてしまった
- お墓や神社等へのお供え物が荒らされたり食べられたりしてしまった
- 池の魚がいなくなった
本当にハクビシンのしわざかどうかを確認するには、自動撮影カメラを使って動画や写真を撮りましょう。
とくに動画で撮影できれば、大きさや何匹ぐらいかなどがわかり、しっかりした対策がとりやすくなります。
ハクビシンを近づけないために
エサ場をつくらせない
- 畑に収穫後の農作物を残さない
- 生ゴミを庭先等に放置しない
- ペットフードの食べ残しは早めに処分する
- 夜間のゴミ出しをしない
ハクビシンはエサがあることがわかると近づいて来ます。 「近くには食べるものがない」と認識させるよう、エサになるようなものはできるだけおいておかないようにしましょう。
寝床をつくらせない
- 壁や換気口の穴を塞ぐ
- 屋根に届きそうな枝を選定する
- 川や用水路から建物までの雑草を刈ったり枯れ木、落ち葉を片付ける
ハクビシンは木登りが得意で、木の枝や電線の上も身軽に歩くことができます。 建物への侵入は地面以外にも木や電線を伝ってくる可能性があり、その経路をできるだけ絶つことと、建物の高い位置の隙間を塞ぐことが大切です。 また、ハクビシンは人目につきやすい開けた場所を嫌います。雑草を刈ったり不要なものを片付けるなどして、ハクビシンが隠れられる場所を減らしましょう。
ハクビシンを近づけない様々な器具・道具
忌避剤
ハクビシンはニンニクや石油のニオイが苦手と言われています。 侵入経路やエサ場、寝床にまいて近づけないようにします。
くん煙剤
建物に侵入され、寝床にされてしまっていたらくん煙剤を使えば追い出すことができます。 くん煙剤を使用する場合は、侵入経路の入り口をふさぐ前に使用し、確実に出ていったことが確認できたら入り口をふさぎましょう。
フェンス
ハクビシンはフェンスを登ることができますので、フェンスだけではあまり効果が期待できません。 フェンスの途中に有刺鉄線や有刺鉄板を入れると効果を高めることができます。
電気柵
ハクビシンによる農作物被害を防ぐには、電気柵を使った方法が最も効果があるそうです。 ハクビシンの対策にはハクビシンに特化した設置方法があるため、作物を荒らしているのが確実にハクビシンであるということをはっきりさせ、ハクビシン用の正しい設置方法で設置することが大切です。
ハクビシンの捕獲・駆除
被害をもたらすとはいえ、動物を捕獲する場合は都道府県へ許可申請が必要です。 さらに罠を使って捕獲する場合には狩猟免許という国家資格の取得が必要です。 自分の敷地内でしたら、免許が無くても、捕獲檻の設置をすることが出来ますが、捕獲檻の設置には、市町村役場へ申請、許可が必要です。 まずは市町村役場、またはプロの業者に相談しましょう。
ハクビシンの被害と対策まとめ
ハクビシンは農作物を荒らしたり建物を壊す以外にも、細菌や微生物を媒介することでヒトに大きな健康被害をもたらします。
建物や農地へできるだけ近づけない対策をとり、侵入されてしまったら速やかに追い払い、必要に応じて自治体やプロに駆除の相談をしましょう。