ネズミによる農業被害
ネズミの被害というと、家庭や店舗、倉庫などの食料を荒らしたり天井裏を走り回るような騒音被害などを思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、建物の中だけでなく、畑の作物や家畜などもネズミの被害を受けることがあります。
このページでは、ネズミによる被害の中でも特に「畑のネズミ対策」についてまとめました。
ネズミの主な特徴・習性や、効果的な対策をご紹介します。
ネズミってどんな動物?
日本には10種類近くのネズミが生息しています。
中でも畑に被害をもたらすのが、いわゆる「野ネズミ」と言われるネズミです。
その野ネズミの中で代表的なのが、アカネズミ・ヒメネズミ・ハタネズミ・カヤネズミです。
アカネズミ
頭胴長:約8〜14cm、尾長:約7〜13cm
体重:約20〜60g
北海道から九州まで日本全域に生息し、背中が明るいブラウン、おなかが白色です。
ヒメネズミ
頭胴長:約6.5〜10cm、尾長:約7〜10cm
体重:約10〜20g
アカネズミとほぼ同じ生息域で見た目もよく似ていますが、ひとまわり小さく、頭胴長よりも尾長のほうが長いのが特徴です。
ハタネズミ
頭胴長:約9〜13cm、尾長:約3〜5cm
体重:約20〜60g
主に本州・九州と佐渡ヶ島・能登島に生息し、背中が茶色または灰黄赤色でおなかが灰白色です。
カヤネズミ
頭胴長:約5〜8cm、尾長:約5〜9cm
体重:約7〜14g
日本国内では最小のネズミで、背中はオレンジ、おなかは真っ白です。
見分けるのは難しい
畑でネズミを見かけたとしても、ネズミの大きさは大きくても10cm程度で動きも機敏なので、これらのネズミを瞬時に見分けるのは難しいと思います。「野ネズミ」としての共通の特徴は次のとおりです。
・夜行性
・雑食性で野菜や果物、草、昆虫などを食べる
・食物を巣に貯蔵する習性がある
・主に春と秋の年2〜3回、1回に6〜7匹出産する
・妊娠期間は20日前後で、生後2〜3ヶ月で成獣になる
・天敵はイタチ、テン、キツネ、ネコ、フクロウ、ワシ、タカ、トビ等
畑のネズミ被害
食害
ネズミは雑食で、丹精込めて作った農作物も好んで食べます。 特にサツマイモ、ニンジンなどの穀物・野菜のほか、リンゴ、ナシ、ブルーベリーなどの果物も好物です。 木の根の皮や苗木、若木なども食べ、冬から春にかけての被害が目立ちます。 春前ごろは木の根の被害が多く、ひどいときには木が枯れてしまうこともあります。
感染病や寄生虫の媒介
ネズミに付着した感染病や寄生虫が畑に持ち込まれ、作物が被害を受けてしまうことがあります。 ネズミの行動範囲は数十メートルと言われ、近隣の畑にこのような病気や寄生虫が発生した場合、ネズミがそれらを媒介してしまう可能性があります。
作物を傷つける
ネズミの前歯は放っておくと伸び続けるという生態があります。 そのため、定期的にものを齧って前歯を削って手入れをしています。 畑で育てている作物がネズミの好物ではなくても、前歯の手入れのためにかじられてしまうことがあり、食害ではなくても被害を受けてしまうことがあります。
畑のネズミ対策1 近づけない
忌避剤や忌避機器などによる対策です。
忌避剤
忌避剤はネズミが嫌がる山火事のニオイのするものが効果的と言われ、天然素材のものを選べば基本的に無毒で安心して使えます。
忌避機器
忌避機器としてよく利用検討されるのは超音波駆除機です。
ネズミが嫌がる音を発生させて近寄りづらい環境をつくる機器ですが、人間には聞こえない音ですので、どれくらいの範囲でどれくらいの効果があるのかわかりにくいのも事実です。
魅力的なエサがある場合などは音をガマンしてでも近づくネズミもあるので、他の方法と併用するのが良いでしょう。
草刈り
よく手入れされた畦などは、見通しが効き、天敵から見つけられやすいのでネズミは嫌がります。
モグラ対策
ネズミ対策とモグラ対策は一見別の話のように感じるかもしれませんが、実は大いに関係があります。
モグラの通る穴は、ネズミにとっても格好の通り道になっていて、畑のあちこちへ移動できるうえ、身を隠す場所としても利用することができます。
モグラ自身が農作物を食べることはありませんが、モグラを近づけないことでネズミ被害を減らすことができます。
モグラ対策には、タバコの粉を土に混ぜたり、ペットボトルで作った風車を地面にたてる方法が手軽で良く利用されています。
「モグラよけペットボトル風車の作り方」などで検索すると作り方を見つけることができます。
畑のネズミ対策2 ネズミを駆除する
ネズミを捕獲または駆除する方法です。
殺鼠剤
毒の入ったエサを食べさせて駆除します。食べた直後ではなく、数時間後に効くように工夫されているため、他のネズミを警戒させることなく駆除することができます。
比較的効率的な方法である一方、毒を使用することが不安な場合は向きません。
捕獲
カゴ式・バネ式・粘着シートなどを設置してネズミを捕獲・駆除します。
ネズミは警戒心が強いので、不自然にわなが仕掛けられているとうまく捕獲できません。場合によっては根気強く待つ必要があるかもしれません。
これらの方法で捕獲したネズミは、自分で後始末する必要があります。後処理をしたくない場合は他の方法がよいでしょう。
駆除機器
エサのニオイにつられて近づいたネズミをCo2の圧力で一瞬にして撲殺駆除する機器を使います。
無毒で確実に駆除できるのが特徴で、新しい機器ですが世界中で人気があります。
環境によりますが、撲殺されたネズミはほとんどの場合、野生動物が持ち去るので、後始末をしなくて良いのもメリットです。
ネズミの対策まとめ
「ねずみ算式に増える」という言葉があるように、ネズミの繁殖力はとても高く、小さな被害を見過ごすとすぐに大きな被害になってしまいます。
畑のネズミ対策は大変ですが、上記にある基本的な「近づけない」対策をとった上で、少しでも数を減らせるような捕獲・駆除対策をとるのがよいでしょう。
被害が大きくなる前に、できることから対策をはじめましょう。